ハートフル・アーツ
「はぁ…はぁ…」

幸大は吹き飛び倒れていた


「見事だよ、幸大君。」


幸明は幸大に近づき手を差し出す

「結局、勝てなかったか。」

幸大は幸明の手を取り立ち上がる


「いやいや、予想外の強さだった。

僕が出そうと予定していた力でやっていたら負けていたのは僕だ。

最後の技は僕が君に付けていた評価を軽く凌駕してしまう技だった。」

「まぁ、結局はまだ師匠に遠く及ばないか…。」

幸大が言う


「簡単には、ね。

でもいつかは。」

幸明が笑う


「ああ。

ただ、あまり待たせられないからな…」

幸大がなずなをちらっと見た


「お熱いことで。

武神流は君なら継げるよ。




さて、これで僕の修行は一先ず終わりだ。」

パンッと手を打って幸明が言う

「そうか…って、え!?」

幸大が言う

「武神流以外の修行も必要だってことさ。

君はすでに1人、師匠がいるらしいしね。」

幸明が言う

「ああ、老師のことか?」

「うん。

前に一度会ったよ。

君はまだまだ、武神流以外でも成長できるよ。


それに今日みたいに君を狙う者たちも現れるから気をつけてほしい。」

幸明が言う


「ああ。」

「僕からは以上!!」


幸明が露天風呂から立ち去ろうとする


「師匠!!」

「ん?」

「とりあえず、ありがとう!!」

幸大が頭を下げて言う

「とりあえず、か。

どういたしまして。」

幸明が言う

「そんで、これからもよろしくお願いします!!」

幸大が頭を下げたまま言う


「あはははは。

君は本当に面白いよ。

何かあったら連絡してくれれば会いに行くよ。

君の携帯に僕の電話番号を前に入れといたから。」

「いつの間に…」

「じゃあ。」

幸明が立ち去った



「またな。」

幸大が言う
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