ハートフル・アーツ
その後、2時間ほど武器のぶつかりあう音が響いた




「さて、今日はこのくらいにしておこうか。」

才蔵が言う


「はぁ…はぁ…

ありがとうございました。」


幸大は地面に倒れながら言う



「小鷹、お疲れ。」

あかねがそう言いながら幸大の顔にタオルを掛けた


「サンキュー…」







「…。」

「…。」



「つ…月がキレイだね。」

あかねが言う

「ああ。」

幸大が相づちをうつ



「ふ、二人きりだと緊張するね。」

あかねが言う

「ん…まぁ。」

幸大が言う




「あのさ…何で学校ではわざわざ距離を置いてるんだ?」

幸大が訊ねる


「…僕は、幸大たちの輪には入れないよ。」

あかねが俯きながら言う

「僕は幸大の命をどんな理由にしろ狙った。

そんな僕が今さらどの面下げて友達だって言えるのさ…」

あかねが自嘲する

「そんなの…」

「幸大は優しいから僕を許してくれるだろうけど…朝霧さんやヴァージニアさんはそうはいかないよ。


ヴァージニアさんと僕は直接的な関わりはないけど


朝霧さんとは、特にね。



武神流と服部一族の不仲はもちろん…

朝霧さんの婚約者を殺そうとした僕が、次は幸大と肩を並べて親しくしてるのを見たら…」


「なずなだってあかねのことは許してくれるさ。」



「幸大は乙女心をわかってないよ。

許すと認めると受け入れるは全くの別物…


恋敵となればさらに厄介だよ…」


あかねが溜め息混じりに呟いた
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