ハートフル・アーツ
「で、私たちを呼び寄せたのが、幸大に慰められる姿を見せつけるためじゃないんでしょう?」

シェリーがジニーを見ながら言う


「それだけなら、二人きりで慰めたもらうもん。

身も心も、ね?」

「いや、俺に振られても…」


「いちゃつかずに用件を言え。」

嫉妬しながらなずなが言う


「実は、私の両親が今度、ハワイに行くから友達もどうだい、って電話があったから。」


ジニーが言う


「ジニーさんのご両親はどちらにお住まいなんですか?」


あずさが言う

「アメリカかイギリスにいるよ。

いつもそのどちらかを行ったり来たりしてるし。」



ジニーが言う

「なんの仕事してるの?」

ツバメが言う


「美術商とか宝石商みたいな…まぁ、趣味も兼ねてるって言ってたよ。」

ジニーが言う


「でも、僕には行けるほどお金に余裕はないかな…」

あかねが言う



「daddyは飛行機のticketとかホテルの料金は知り合いのつてで格安にしてくれるって。」

ジニーが言う



「それでも厳しいかな…」

あかねが言う


「私も規模は大きいけど家にお金があるわけじゃないから…」


ツバメが言う


「パスポートないしな。」

幸大が言う


「パスポート位は今時は簡単よ。」

シェリーが言う


「てか、バイトすればいいんじゃないの?」

すみれが漫画を読みながら呟く


「確かに…というか、他人事みたいに言ってるけどすみれちゃんも数に入ってるよ?」


ジニーが言う


「は?

何でよ?

私はわざわざ言葉も通じないところに行きたくはないわよ…お金もないし。」


「せっかくだし行こうぜ?

バイトも探してさ…」


幸大が言う


「私が行っても邪魔でしょ。

あんたが皆とバカみたくいちゃつくんだから。」


「いや、まぁ、いちゃつくのは否定できないけど…行こうぜ?」


「…。

あんたは、私がいてもいいの?

他の人から見たら邪魔は少ない方がいいと思うけど…」


すみれはチラッと女性陣を見る


「?

よくわからないけど、俺はすみれと行きたいな。」


「…本当に行ってもいいの?」

「むしろ、来てくれない方が嫌だな。

一緒に行きたい。」

幸大が言う




「…。

バイト、探さないと。」

すみれが漫画を本棚に戻す


「その前にパスポートの申請をしに行こうぜ。」

幸大が言う



「幸大、その前に、お説教が待ってるわよ?」

シェリーがにっこりと笑う


「右に同じく。」

なずなが言う

「私も。」

ジニーが言う


「幸ちゃんは少し厳しい躾がいるかも。」

ツバメが言う



「み、皆さんがすごい殺気を…」

あずさが言う


「こうなるから、何度も確認したのに…バカ。」

すみれが小さく微笑む


「僕たちはお説教の間に皆の申請書類でも取りに行こうか。」


あかねが言う


「あかね、幸大があんたのチョークスリーパーにタップしてるわよ…」

すみれが言う


「いつのまにか体が動いてて…てへっ。」

あかねが幸大を解放して部屋を出た




















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