Sweet Heart
 


「あぁ…。」



かろうじて生きていたきぃ兄ちゃんは、ゆっくりと体を起こす。



良かった…。鼻血だけで済んで。普通なら気絶しててもおかしくないのにね。



「くそ…。今度こそ息の根を止めてやる。」


「ちょっ、蘭!さすがに椅子はまずいから!」


「うるさーい!」


「キャー!」



私なんか眼中にはないのか、蘭さんはきぃ兄ちゃんに向かって椅子を投げてきた。



しっ、死ぬー!……って、あれ?



「大丈夫か?」


「葵君…。」



逃げ遅れた私を葵君が腕を引っ張り、助けてくれたおかげで私は無傷だった。


ちなみにきぃ兄ちゃんは無事に避けたみたい。



助けてくれたのは良かったけど…葵君との距離が近すぎてドキドキする! 



「てめぇ!どさくさに紛れて真智に触れてんじゃねぇ!」


「なっ!俺は真智を助けただけだ!」


「問答無用ー!」



しかし今度はきぃ兄ちゃんが私を助けてくれた葵君に何かを勘違いしているのか、近くにあった食器を投げてきた。


葵君は何とか避けることができたみたいだけど… 


「喜一!あんただけは許さない!」


「痛ぇ!俺は関係ねぇだろ!」



蘭さんがきぃ兄ちゃんに向かって投げた小物が見事葵君の頭に命中。



今の状態を簡単に説明すると

蘭さん→きぃ兄ちゃん→葵君←蘭さん(流れ弾)



その後私は葵君に言われ、密かに外へ非難し香山さんを呼んで助けてもらった。




こうしてリビングはとんでもない姿になってしまったのである。




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