不器用上司のアメとムチ

本当は、さっき「好きです」と告げたときに、久我さんの気持ちも聞きたかった。

元々、言葉にするのは苦手そうに見えるし、こんな風にあたしに触れてくれるのだから、そこに少しも気持ちがないなんてあり得ないとは思うけど……



「……これならもう充分だろ。挿れるぞ」



ずっとあたしの中を掻き回していた二本の指が引き抜かれ、足元でベルトを外す音がする。

久我さんと繋がれるのは嬉しいはずなのに、胸を覆うかすかな不安が消えない。

あたしたちの間に漂う空気はお酒の匂いがしていて、彼の行動がまたしてもアルコールによるものだったら、と思うと怖くてたまらない。


それでも、あたしは久我さんを信じたいから……



「早くきて……あたしを、久我さんでいっぱいにして下さい」



不安を打ち消すように、あたしは彼に向けて足を開いた。

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