不器用上司のアメとムチ

18時を過ぎると、まずは幹事の佐々木が管理課を出ていき、あたしは女性陣と一緒に席を立った。


「佐々木って、女の子が喜ぶお店いっぱい知ってるから期待できるわよ」

「そうそう、前に行ったところも野菜メインのお料理にお洒落なカクテルがいっぱいで、あたしみたいなオバチャンが行っていいのかしらと思ったほどよ」


今ではすっかり仲良くなれた森永さんと小出さんが、歩きながら内緒話のように教えてくれた。


「本当ですか?楽しみ〜。チャラいのってこういう時に役に立ちますね」


ニコニコしながら二人の後ろを歩いていたあたしだけど、途中から誰かに鞄を掴まれて、前に進めなくなった。

……誰なのかは、薄々わかっているけど。


「久我さん……なんですか?6時半から予約してるって言ってたから早く行かないと」


あたしが立ち止まって彼の方を振り返ると、森永さんと小出さんは気を利かせたのか先に扉から出ていく。

久我さんは、廊下に面したガラス窓から二人が見えなくなるまで、何も言わずに黙っていた。

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