不器用上司のアメとムチ
助けて…!
と吉沢さんの方を振り替えると、今までその場所に居たはずの彼はいなくて。
「――姫原さん、健闘を祈る!」
いつのまにか下に降りていた吉沢さんが、車の前でそう叫んでた。
そんな!あたしを見捨てないで!
「梅ぇ……」
久我さんはそう言いながら、段々と立っている力がなくなってきたようで、あたしにもたれかかる。
ここで倒れられたら、やばい……
「久我さん、ちょっと……ベッドまで我慢してください!」
「……はいはい。積極的だなぁ梅は」
「そういう意味じゃありません!!」
なんで体調悪くて休んだ日にこんなに酔ってるんだろ……
あたしは久我さんに肩を貸しながら、そんなことを疑問に思っていた。