おいでよ、嘘つきさん。
翌朝、プラタナスの微かに腫れた目を見て父親は「昨日は遅くまで起きていたのかい?」と優しく聞きました。

プラタナスは「いいえ、時間通りに寝ました」と答えました。

父親の不信感は確信に変わり「今日は学校を休みなさい」と厳しく言いました。

プラタナスが口を開こうとした時、母親が「この子の事は私が1番よく知ってます。見なさい、この子が動揺してるじゃないの」とプラタナスの髪を撫でながら言い返しました。

父親は「駄目だ。プラタナス、お前は隠し事をしているな。嘘をつくような子に育てた覚えはない。」

プラタナスは顔を真っ赤にして立ち上がり

「嘘などついてはいません!そんな愚かな人間ではありません!」

「お父様こそ、私が嘘をついてる根拠など何処にあるのですか!」

「お母様、私は髪ではありません!髪に語りかけても返事は致しません!」

「つまり、何も話す事はありません!」


あまりの勢いに両親は唖然としました。
動揺しながらも父親が「落ち着け」と言った瞬間、プラタナスは倒れてしまいました。

すぐに母親がかけよりプラタナスの頬を軽く叩きましたが反応がありません。

香水をふっても反応がなく、とても冷たく青白いプラタナスに母親は取り乱し泣き叫びます。

父親はすぐに抱き抱えました。
あまりの軽さに驚きながらも、微かに鼓動は感じます。

馬車を用意する時間も惜しいため、近くの医者はプラタナスをとりあげてくれた産婆だけでした。

大きな病なら、準備が足らないかもしれませんがそんな事を言ってる場合ではありません。

プラタナスを抱き抱え、走って向かいました。

町の人々は「髪に魂を喰われたプラタナス」「ついに死んじゃった」「悪魔払いに失敗した」など、口々に罵りました。
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