おいでよ、嘘つきさん。

菓子狂

次の日から、メリッサは準備を始めました。
「色々と持って行きたいし、大きな鞄が必要ね」

メリッサは、大きな鞄を買いに行く事にしました。
家から出ると、いつも通り向かいの女性が話しかけてきます。
『魔法使いさん、おはよう!どちらにお出かけ?』

「お買い物だよ」

『お勧めのパン屋さんは、3丁目の角の紫色のランプの店よ!』

「ありがとう、でもパンを買いに行くんじゃないの」

『魔法使いさんは面白いわね。パン以外に買うものは無いわよ!』

「わかったよ。じゃあ、行ってくるね」

『気をつけてね、魔法使いさん!帰りを待ってるわ』

今日も変わらず狂っている女性は『魔法使いさん』と連呼しています。メリッサは無視をして鞄屋さんに向かいました。


お店について、メリッサはお気に入りの鞄を探します。大きく、可愛く、軽い鞄を探していると店主が仏頂面で話し掛けてきました。
『メリッサ、鞄なんか買うな』

「そういう訳にも、いかないのよ」

『変わり者だな。鞄なんて良い所ないんだぞ』

「私は好きよ。それに、必要なのよ」

『必要な時には買えないんだ、不必要な時に買えるんだぞ』

「ねぇ、この鞄の赤色はない?」

『赤狂いのメリッサ。無いけど、有るぞ』

「なら、有るのをちょうだい。はい、お金」

『仕方ないな、ほらよ。鞄なんて良い所ないのに』

店主はブツブツ言っていますが、メリッサは赤い鞄を買うとさっさと店を出ました。お気に入りの鞄が買えてメリッサは嬉しい気分です。


家への道を歩いていると、また警察官に声をかけられました。
『やはり18時は、無理なんだ』

「そう、残念ね」

『あぁ、残念だ。仕事が終わるのが17時だからな』

「お仕事、頑張ってね」

『なんとか、18時には仕事を終えるよう頑張るよ』

警察官は一日中、仕事をしています。メリッサは「仕事の、やり過ぎで狂ったのね」と思っています。


家の近くで、また女性が話し掛けてきます。
『魔法使いさん!おかえりなさい。まぁ、大きなパンを買ったのね』

「パンじゃないよ、鞄だよ」

『まぁまぁ、いいじゃない。気にすることないわ』

「そうだね、ありがとう」

『今日は出掛けないのね?』

「今、出掛けたよ。もう、帰ってきたけどね」

『え!いつの間に!気が付かなかったわ』

メリッサは、ため息をつき家の中に入りました。

毎日、同じような話しばかりされ答えている事が馬鹿馬鹿しく思え疲れるのです。だからと言って、違う話題をふっても会話が成立することはありません。
「やっぱり、狂っている。コマデリと町を出るのは良い考えだわ」
メリッサは考え、準備をはじめました。
< 99 / 185 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop