狼系不良彼氏とドキドキ恋愛【完】
「星哉……ごめんね……。星哉を守るためには……これしかなかったの……。本当にごめんね?」


声をあげながら泣いても、この状況が変わるわけじゃない。


分かっていても涙がとめどなく溢れ続ける。


星哉……、星哉……、星哉。


何度も何度も頭の中で名前を呼ぶ。


そうしていると、星哉の笑顔が目に浮かんだ。


ポーカーフェイスの星哉がたまに見せる笑顔。


大人っぽい顔つきが少しだけ子供っぽくなる。


もうきっと、あの大好きな笑顔をあたしに向けてくれることはないかもしれない。


ああ、ダメだ。


また涙が……――。



「ううぅ……――。やだよぉ……。別れたくなんてないよっ……!!」


あたしは膝を抱えたまま泣き続けた。
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