日陰より愛を


あのあと、俺と葵は榊原さんと社長に会いに行った。


社長と榊原さんは何度も何度も謝って。


再会した3人は最初、かなりぎくしゃくしていた。


それでも、今までのこと、これからのことを話しているうちに徐々に打ち解けて。


そろそろ帰ろうと言って見送ってもらっていたとき。


「………会えて……話せてよかった。また、ね……お母さん、お父さん」


そう言って、葵ははにかんだように笑った。


榊原さんと社長は涙を流しながらも、嬉しそうに笑って。


俺もそれを見て、もらい泣きしてしまった。


何であなたが泣いてるのと、そっくりの笑顔で笑うものだから。


あぁ、この親子は大丈夫だ。


と、俺は心がほかほか温かくなった。





< 63 / 67 >

この作品をシェア

pagetop