※公開終了間近! イロモノなアタシ
独り言が聞えたのか、お父さんがメイクを落としながら、こっちを振り向く。


「さっきからブツブツうるさいわよ、あ、そうそう、あの芸人さん最近良く来るわね」
「ああ、あのマージナルの人でしょ」
「あの子イケメンよねー、私、今度テーブルに付いちゃおうかしら」


お父さんの好みのタイプでもあったらしい、親子というのはヘンなところで似るものだ。


ふいに仏壇に目をやると、スーツ姿のお母さんが素敵な笑顔を浮かべているのが目に入る。


しかし、二丁目では『美ナベ美カマの恋』と呼ばれた2人の子供なのに、なんであたしはこんなにブサイクなんだろう。


「ねえ、あたし拾われっ子とかじゃないの? お父さん」
「あー、拾ったわよ、淀川のほとりで。ギャースカ泣いてる志穂を」
「もういいよ」


もう寝よう、明日だって講義があるんだから。


「先にシャワー浴びるからね」
「えー、入ろうと思ってたのに」
「疲れてるんだものー、後にしてちょうだい」


結局、眠れたのは明け方近い時間だった。
< 76 / 386 >

この作品をシェア

pagetop