私は最強ビンボー女!
穏やかな空気が流れる。



けど、異分子である私はなんだか居たたまれなくなって、葉月に言った。


「あの・・・襟首、離して?」



葉月はハッとしたように私を見て。


襟首を握る力を強めた。




・・・葉月・・・


「さっきの私の言葉聞いてた?」


「聞いてたわよ。誰が逃がすかっての。」


ギロッと睨まれた。


なんかさ、私の扱いひどくない?

別に逃げ出そうとなんて考えてなかったのに。




源蔵さんは面白そうに私と葉月を見て、面白そうに口を開いた。



「葵様のところに連れてくのですか?葉月様。」


「勿論。」



源蔵さんが私を《いいのか?》というように見た。


私は頷く。



「じゃ、葉月。連れてっていいよ、私のこと。

糞バ・・・じゃない、お祖母ちゃんに話したいことあるから。」



私は、微笑んだ。


これで――前に進める。



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