潜入!婚活パーティー☆①
ネネは小さくつぶやきます。

『ないな・・・』

ネネは既婚ですが、次男と次女のカップルです。

お互いの実家に関して家を継ぐとか、お墓のこととか、親の介護とか、あまり重いものを背負わずに、小脇に抱えているくらいです。


だからネネのつぶやきは、ネネにとっては普通の感覚です。


対してウキタは二人姉妹の長女。
いつか親の介護もそのときが来ると覚悟しています。



このお肉屋さんの男性が、まず自分の家庭のことを話してくれたことが、なんだか誠実に思えました。



『私に、在宅介護をしてほしいですか?』


ハナちゃんも、ちゃんと受け止めたみたいです。


『私は一人っ子です。私にも両親がいます』


ハナちゃんの言葉の続きを見守ります。


『私は、自分の両親を安心させたくて婚活パーティーに参加しています。そちらのご両親やおばあ様の介護を最後までやれるかどうかということまで、この場で簡単には答えられません』


ハナちゃんの言葉に、拒絶でも受容でもないものを感じました。
本当に、先のことに責任が持てないなら簡単に言葉にするべきじゃないのだと思います。
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