*正しい姉弟の切愛事情*


そのまま、私の耳に顔を寄せて、



「俺は本気だよ……一歌」



震える吐息に胸が詰まる。

私の耳から体内へと直接伝えられた瑞貴の想い。


短い沈黙を挟み、やがて弟は体を起こした。

呆然としている私をシーツの上に残し、ベッドから降りて静かに振り返る。



「……本気だから、一歌が嫌がるならヤメる。……ごめん」


つぶやくと、寂しげな視線だけを残して瑞貴は私の部屋を出て行った。


消えていった背中はやっぱり細くて、私は襲いくる痛みに戸惑った。
 


喉が締まって苦しい。


 
わけがわからなかった。


自分のことなのに、全然わからない。


心臓が打つたびに、胸が張り裂けそうになる。



これはいったい、


何の痛みなの――?





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