血染めの鎖
「ってえな!何すんだよっ」
「お前がノロマだからだろう。僕の呼び掛けになかなか反応しなかった」
「そっ、そりゃあいきなり別の名前で呼ばれりゃあ誰だってキョドるっつのっ。だいったい【アル】ってなんだよ!」
「アホ猿」
「え?」
「アホザル略して【アル】」
「てめっ……一発その鬼畜った頭ぶん殴らせろッ!」
「そう喜ぶな喜ぶな」
「どこが?!ねえどこが喜んでる風に見えるのリークさんっ?!」
ぎゃんぎゃん騒ぐトルガ(兼アル)は、くすくす笑うリークを今にも殴ろうとしている。
が、突然ピタリと動きを止めたリークにトルガもつい振り上げた右手をそのままに尋ねた。
「ど、どうしたんだよいきなり…」
「うん? いや、お前の名前を改名したとあれば、僕も名前を変えなくてはいけないと思ってね」
「ッハ、だったら【バル】でいいんじゃねーの?バカザルのバル~、つってなー!ぎゃはははは………ッテー!」
リークに後頭部を殴られたトルガは、その痛さに身悶えする。
指差して笑うから殴られるんだと、このアホザルは気づいているのだろうか。