血染めの鎖

⇒魔族と青年




ドシン、ドシン

重々しい音を響かせて近づいてくる、その巨体。無数もある目をギョロつかせて、一言で言えば『気持ち悪い』。


[人間ノ臭イスル、思ッタ。ホントニ居タダナァ]


にちゃあ

唾液と赤い液体の混ざったものがねばつき、魔族が歯をみせて笑うとそれらがぼたぼたと地面に落ちた。


あまりにも唐突に現れた魔族に、村娘の体は無意識にカタカタと震えだす。


「魔族が活発に動くのは夜、つまり僕たちはいま命が危ういというわけか」

「!」


ぎゅっ、と。震える村娘を抱きしめ、そうポツリと呟くリーク。

無意識なのか、村娘の顔が紅くなっていることに気づいていないリークは天然なのか、天然タラシ男だったのか。
< 96 / 106 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop