潔癖症の彼は、キスができるのですか?



「……できると思うよ」

「なんで?」

「好きなら、気持ち悪いなんて思わない」

「ふーん、そっか」


私の疑問は解消され、すっきりした笑顔で手をふった。


「じゃあね」

「山口さん」

「ん?」

――グイッ!

「きゃっ!!!!!!」


お、大窪くんが私の手を掴んだ。その行為にあまりに驚いて、カバンを落としてしまった。


「わ、私、除菌されてないよ! 触って大丈夫なの!?」

「いや、だから……」


大窪くんが不快に思わないように、あまり近寄ったことなかったけど、こんなに身長高いんだ。


きめ細かいキレイな肌。切れ長の瞳に、短くカットされた黒髪。制服からは、意外にもアロマのゼラニウムの香りがした。



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