潔癖症の彼は、キスができるのですか?



「大丈夫?」

「う、うん」

「ロッカーを拭こうと思って、タオル持ってたんだけど役にたったね」


ロ、ロッカー……。大掃除の時にしかロッカーの掃除なんてしないよ。大窪くんって、こまめに身の回りのものを掃除してるんだね。


「って、そんなことより唇は大丈夫?」

「平気。歯磨きしまくって、口内洗浄液一本使った。気が済むまで、うがいもしたし、少しだけ落ち着いた」


……て、徹底してる。私も夏樹からキスされた時、何度も口をゆすいだけど。超潔癖症の大窪くんとは比べ物にならない。


「ところで、さっきの奴が主犯?」

「ああ……うん。でも、見た通り解決したから」

「本当に?」

「うん。もう二度と私と大窪くんには関わらないよ」


私、どんくさいし、トロくて、バカだけど……。ケバマツゲはきっと今、どこかで泣いてる。教室から出て行く時、涙目になっていたことに気付いたから。大窪くんのことが本当に好きだったことは分かるよ……。



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