潔癖症の彼は、キスができるのですか?



学校に着いて、ソワソワ感が増す。今日から、大窪くんのこと、あまり見ないようにしよう。そう思いながら、昇降口に足を踏み入れた瞬間。


「おはよう」


お、大窪くん……。まさかの下駄箱で、待ち伏せですか!! 私は気まずくて、顔を背けた。


「昨日はごめん。つい……」

「つい!? ついで、キスするの!? 私、初めてだったのに!!」


無神経すぎる。謝罪の後の言葉が余計だ。


「ここ空気が悪いから、教室に行こう」


下駄箱。たくさんの人の靴が収納されているこの場所は、彼には苦痛らしい。


「ひとりで行く。大窪くん、先に行けば」

「話があるんだ」

「何? 今、ここでして」


大窪くんは一瞬、ためらったけど、真面目な表情で口を開いた。



「俺と付き合ってください」




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