真面目くんがネクタイを緩めるとき


私はもう働いているけれど、梶は6年間も勉強してたんだから

すごいと思う。


「胡桃、今日はもう上がっていいわよ。」

一通り仕事を終えると上司からそう言われ、時間を見る。

18時かぁ

うん、ちょうどいい。

久しぶりに定時であがり、まだ空が明るいのが新鮮だった。


ドキドキを抑えながら

私は待ち合わせの場所に向かう。


お互いが会うのに私達には、不安材料がたくさんあった。

それは、今年は会えていないこと。


6年の間、ちょくちょく梶が来てくれたり

私が向こうに行ったりしてはいたけれど、

やっぱりお金と距離の問題から1年に2回が限界だった。

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