真面目くんがネクタイを緩めるとき
近くにいた人は何人か振り返ったけれど
梶は……。
見て無い
良かった。
「やっぱ胡桃に堕とせない男は
いないか~」
美影は机の背もたれにより掛かりながらそう言う
そうそう、
私に堕ちない男なんているはずが無いんだから。
たとえ、真面目くんだって
絶対に堕としてみせる
梶をちらっと盗み見て心の中で
そう呟くと、
その時、一瞬目が合った
どきっ…。
眼鏡の奥の梶
少し笑っていたような?
そんな、気がした。