...Melting Love...―愛檻―


そう考えると、二楷堂との関係はかなり異常だ。
こんな風に、ストーカー以上にしつこくつきまとってくる人はいなかったし、二楷堂みたいなタフって言葉だけじゃ表しきれない人間がそこら中にいるとも思えないから、当たり前かもしれないけど。

100%の林檎ジュースを取り出して、一口飲む。
冷たいジュースが、喉を冷やしながら甘さを残して通過していく。

それを感じながら……電車の中での事を思い出していた。

キスされた。
言葉にすればそれだけだけど、でも違う。

二楷堂にキスされた途端、ナニかが私の中に入り込んできて、満たされていった。

人の血を飲んだ時と少し似ていた気もするけど……。

私が人間の血を飲んだ時、まず感じるのは、嫌悪感だ。
そして、喉が焼けるみたいに熱くなって、その熱が身体中に広がっていく。

身体が欲してるハズなのに、その時は苦しくて仕方なくて。
それにしばらく絶えてやっと、ようやく熱が抜けていく。

その時、初めて身体が満たされた気分になる。


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