アフター・スターマイン
吾妻くんフォーエバー
 


「……今何時だと思ってんのお前」

一人暮らし向けアパートの2階の奥にある、小さな一室。
オリーブグリーンの玄関扉を開けて出てきた吾妻くんの第一声は、そんな冷たい一言でした。

「……えっと、今日ね、友達と花火大会に行ってきて」
「うん、見ればわかる」
「……花火が、すごくきれいでして、」
「へえ」
「……この感動を、ぜひ吾妻くんと分かち合いたいと思って」
「ああそうよかったね。じゃ、おやすみ」

「――ちょ、っと待って!」

せっかく彼女が浴衣姿で訪ねてきたというのに、無情にもさっさと扉を閉めようとするA氏。

させてなるものかと、私は履いていた下駄を間一髪、閉まる扉と玄関口との隙間に挟み込みました。


 
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