After the rain
年の違い。
友美子は今日もマスターに会いに、仕事終わりにカフェへやって来た。

「あれ?今日かすみと一緒じゃないんだ。」
「はい。佐々木さんは今日美容院にネイルに、大忙しなんですよ。」
「へー。珍しいな。美容院なんて半年に一回でいい!なんて言ってたのに。」
「佐々木さんは今、恋する乙女ですからねー。自分磨きですよ!」
「あ、そうなの?色々燻ってたのに、ちゃんと抜け出せたんだな。良かったよ。」
「どうなんでしょうねー。佐々木さん、相当傷が深かったみたいですから。」


カウンターで喋っていると、陽輔と昴がやって来た。

「おう!いらっしゃい。メシか?」
「お願いします。」

カウンターの隅に二人は座った。


内心、友美子はソワソワしていた。


バンドの話が聞きたい。

かすみの話も聞きたい。


でも、喋った事なんてもちろん無いし。


「あー。今月生き延びれるかな。」

昴が嘆くように呟いた。

「あ、俺実家から米届いたから分けてやるよ。」
「マジっすか!?あーあ。あと一週間だなぁ。」
「だなぁ。」

昴は、貧乏。
陽輔は、そうでもない。

少なからずともCDを出しているし、作詞作曲をしている陽輔には印税収入があるから、貧乏とまではいかないのか。

「今日、おごってやってもいいよ。」
「は?何で?」
「先週ツレと酔って初めて競馬やったらさ、何か知らないけど当たってさ。」
「すげーじゃん!いくら?」
「4万。」
「はぁー?天の恵み!最近本当調子良いんじゃねーの?」

まさか陽輔、ギャンブルやる人?

「いや、でもどうせビギナーズラックだからさ。二度とやんない。」
「何で、次やったら倍になるかも知れないじゃん。」
「いや、やんない。お前だってやんねーじゃん!」
「俺はずっと見てたからな。ギャンブルで家族を不幸に陥れるダメな親父を。」

笑う陽輔。

気になる友美子。

「あ、そう言えばこの間由香里見たよ。」
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