マーブル色の太陽

持って帰る上履き。

それは頻繁に隠されるための対処だ。

無くなることはない。

たまに、燃えてしまうだけだ。

隠される場所はゴミ箱の中か焼却炉の中。

早ければゴミを漁り、遅ければ燃えてしまうという一定のルール。

僕はこれから逃げ出すために上履きを毎日持って帰る。

当然、上履きを履いた後は、スニーカーをカバンの中へ入れる。

もう日課になってしまった。

僕がそんなことを考えていた時だった。

背後に人の気配を感じて、ため息をつく。


「おや? 同伴出勤ですか?」


振り向くと、ニヤニヤとした顔がいくつか見える。

TVか何かで仕入れた、下品な言葉で、僕をからかう。

やっぱり見られていた。

さあ、今日もくだらなく、長い一日が始まる。
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