マーブル色の太陽

行きの険しさとは打って変わり、帰りの登山道はゆるやかな坂道だった。

幅も殆どが3m以上あり、他のクラスの生徒とも混じり合いながら、わいわいと下山することが出来た。


「最初から、こっちにすりゃいいのに……」


誰かがそう言っているのが聞こえた。

確かにこの道を上りにも使うことは出来ただろう。

そして、この道を使っていれば、危険な目に遭う事も少ないし、時間ももっと節約できたはずだ。

だが、敢えて、急な方の登山道だったのは、僕ら1年生が、丁度、学校に慣れた今、気を引き締めるために、学校側が選んだのではないかと、僕は考えていた。

その時、胸に、ストラップで下げていた携帯電話が着信を知らせる。

僕ら、修学旅行のクラス委員は、いざという時のために、携帯電話の所持が許されていた。

ディスプレイを確認する。

表示された番号は、見た事もない番号だった。



僕は普段、知らない番号には出ない。

ただ、この時だけは、その番号を見た途端、物凄く嫌な気分になった。
< 610 / 672 >

この作品をシェア

pagetop