総長からの「愛してる」



「そろそろ、次に行くか。」



「でも……いいの?ご両親に挨拶とかしなくて……」



「どうせ、どっちもいねーよ。」




小さい頃から、親に構ってもらった記憶はない。



おもちゃは好きなだけ与られ、お菓子だって欲しかったらすぐに大量にくれた。



でも、俺が欲しかったのは、そんなもんじゃなかったんだ。



一人目の子どもで、男が産まれてしまえばもう子どもの必要はないらしい。




だから、兄弟すらいない俺が、一人で、この大きい家にいることが、どれだけ寂しいのか……



あいつらは気づかなかったんだ。




今更手を翻した (ひるがえした) のだって、将来跡取りになることに文句を言わせないように、


今だけの自由を与えてるだけだ。



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