真夏の残骸

「おーい!みんなあー!!」


そんな回想を遮るように、田中くんが大きく手を上げて叫んだ。

夜遅くにそんな煩くしちゃだめだよ、と心の中で呟く。

酔っ払いに直接言っても効果がないのは目に見えていたけど。

かくいうわたしもお酒のお陰で少し気分が良い。

今日くらい怒ることもないか、と子供のように笑う田中くんを横目で見た。

なんだか小学生のときに戻ったみたいで、嬉しくなった。

変わっていないのはわたしだけじゃない。

そんな簡単にひとは変わらないよね。

……そう、だよね。
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