ウシロスガタ 【完】
[初体験]
―ミーン、ミンミン、ミーンー
この音が聞こえると自然と口にしてしまう言葉
「あつ〜」
7月。
夏、真っ盛り。
この暑さの中、永遠と合唱し鳴きやまない蝉になぜだか無性にイライラする。
「あ〜!あちぃ〜夏はこれだから嫌だよ」
自然と顔までしかめっ面になってしまう、暑さ。
そしてこの洋服が体中にまとわりつくのも本当にイライラしてしまう。
「おい!さと〜今週の日曜海行くぞ!」
「海!?誰とっすか?」
「まぁ、合コンみたいなもんだなぁ〜」
「あっ、じゃあ俺は、パスって事で・・・」
「何言ってんだよ、人数足りないし、お前は強制な」
“チッ、マジだりぃ〜”
そんな先輩の誘いに余計イライラした。
「そうだ!お前、少しは女と話せるようにしとかなきゃな」
「はい!?」
「夏だし、女欲しいだろ」
「いや、別にいいっす!」
“季節なんて関係ねぇ〜だろ・・・っ。”
俺はポケットから取り出したタバコに火をつけるとため息と共に吐き出した。