ウシロスガタ 【完】
“こんなに小さかったっけ・・・”


3人店から出て、冷夏と恵梨は俺の少し前を歩いていた。



冷夏の後ろ姿が、なんだかとっても小さく見えた。



「車、どこに停めたの?」



下を向いて歩いていた冷夏を見つめていたが、急に振り返ったのにびっくりし、俺の足はその場で自然に止まった。



「あ、パーキングだよ」



「どこの?」



「コンビニの近く」



「そっか」



そう言うと、また冷夏の止まっていた足は動きだし、背中を向けた。




なんだか、その背中を見ているだけで俺の胸が酷く痛み、早くここから抜け出したいと思っていた。




「じゃあ、俺はこっちだから」



「うん、じゃあね」



一瞬だけ、冷夏が笑った気がしたが、きっと錯覚だったのであろう。



俺を見る眼差しは、冷めきっていた。




こんな情けない男にとうとう愛想つきたのか、



振り返り冷夏の後ろ姿を見つめていたが、冷夏が振り返ることはなかった。




いつもなら……



視線を感じるのか、同じ思いで振り返ってくれるのか、冷夏は必ず、俺に笑顔で小さく手を振る。




そんな姿が、懐かしく俺はなかなか足が動かず、少しだけ期待して、冷夏の姿を見届けていた。




だけど、その日



冷夏が振り返ることも、



俺に笑顔を見せることも、



小さく手を振ることもなかった。
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