響〜HIBIKI〜
各地の滞在時間が1時間弱、移動時間が8時間の超過密スケジュールだった二人は、飛行機の中では会話をする余裕もなく爆睡だった。


「おーい、お二人さん。お疲れのところあれなんだけど、HIROさんから食事のお誘いが来てるよ」


空港からの移動中もウトウトしていたが、TAKAHIROはHIROさんという名前を聞くだけで背筋がピンとなる。


「了解。かな、大丈夫?」


「うん、大丈夫」


そう言いながらも、まだボーッとしている花奏。


島の生活なら、この時間はもう静かに眠る時間だが、東京の街は、まだまだ眠らない。


ネオンが煌々として、車が行き交い、舗道には人と人がすれ違う。


外の景色を見つめながら、今日一日の出来事が夢か現実か、分からないような不思議な感覚の花奏だった。
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