響〜HIBIKI〜
花奏の瞳を見て、TAKAHIROの胸がキュンとなった。


(ヤバッ、又、悪い癖が…。)


TAKAHIROは、自分が惚れやすいタイプだと自覚をしているが、花奏には何かいつもと違う感覚を覚えた。


TAKAHIROは、キュンとなる気持ちを抑え落ち着いているふりをした。


「そろそろ、行こうか」


「あ、うん」


花奏は、少し潤んだ瞳と笑顔でTAKAHIROの顔を見上げて頷いた。


そして、二人はもと来た道を引き返していった。


別れ際。


「かな、明日の撮影、不安?」


TAKAHIROのその言葉を聞くと少し花奏の顔が曇った。


「手出して」


花奏は、TAKAHIROに言われるように手を差し出した。


TAKAHIROは、その手をそっと握った。


花奏は、ドキドキしながらTAKAHIROの目を見つめた。


「撮影中、不安になったら俺を見て」


「…うん」


花奏は、小さくうなづいた。


花奏の細く柔らかな手を握りしめるとTAKAHIROは、思わず「守ってあげたい」という気持ちになってしまう。


反対に花奏は、TAKAHIROの強く男らしい手に力強さを感じ、不安な気持ちが取り除かれる気がした。


「じゃ、また明日」


TAKAHIROは、そう言って部屋へと戻って行った。
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