私は彼に愛されているらしい2
「何も言って貰えないのは少し悔しいですけどね。家族みたいに近い人には言えないし言いたくない時だってありますよ。」

「だからって誰があの子を止めるのよ。」

声は確かに苛立っていたがそれはとても小さな音だった。

「このまま逃げてたってしょうがないじゃない。結局有紗はまた逃げてるのよ。そんなんじゃいつまで経ってもあの子は成長出来ないでしょ。」

「有紗は本当に逃げてるんですかね。」

「はあ?」

呟くような声だったが、確実に自分に対する反論だと受け止めた舞は語気が強く反応する。

しかしみちるは全くきにしていないように言葉を続けた。

「逃げたかどうかなんて本人に聞いてみないと分からないじゃないですか。」

「だから、それを聞こうにも返事がないって話でしょ?」

「はい、待ってたら聞けますよ。本当のこと。」

にこやかに笑うみちるにさすがの舞も少しずつ苛立ち始める。

ここ最近は聞こうにも聞けない状況が続いていると分かっている筈だろう、そう言ってやろうと舞が口を開こうとすればみちるは先手を打つように不適な笑みを浮かべた。

「で、有紗の話は終わりにして私の相談に乗ってくれませんか?」

「相談?」

「挙式、することにしたんです。」

少し恥ずかしそうに告げたみちるの言葉に反応して舞は目と口を大きく開く。

「なので、アドバイスを頂けたらと思いまして。勿論、舞さんには出席して頂くつもりなんですけどね。」

「そっかー!楽しみだな!喜んで出席させてもらうわよ!」

「といっても日程はまだ決まってないんですけどね。」

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