私は彼に愛されているらしい2
舞は仕方ないなと言わんばかりに小さく息を吐くと2人の顔を交互に見て口角を上げる。

この仕草は何かとんでもないことを言いだす前兆だ、そう捉えた有紗とみちるは無意識に身構えた。

「私から見たお2人さんはねえ…ドSな上司にくっついて頑張るドMな部下って感じ?」

舞の発言を受けた瞬間、有紗とみちるは同時に口を開けて固まってしまう。

「ど…っ!?違いますよ!ねえ、みちるさん!?」

「駄目だ、私…なんか恥ずかしい…。」

「ええっ!?認めちゃダメですって!」

「あっはっは。」

すっかり頭を抱えて俯いてしまったみちるに対して戦う姿勢の有紗は必死に首を横に振りながら否定した。それを見て楽しそうに笑うのは舞だ、彼女こそがドSそのものだと有紗は心の中で抵抗する。

「確かに竹内さんも若干Sっ子の気配がしますけど!」

「うー…そうなのよー。いっつもからかってくるのよね。」

「えっ!?やっぱりそうなんですか?」

「振り回されてばっかりで。」

「いいわねえ、楽しい恋愛してるじゃないの。有紗もとりあえず大輔くんと付き合っちゃえばいいのに。」

結果のろけの様になってしまったみちるは顔を赤くして小刻みに首を横に振った。それだけで幸せな空気が伝わってきて自然と有紗の顔もほころぶ。

「羨ましいです、みちるさん。」

「片桐さんは見て分かるけど。東芝くんはあれでいて有紗のこと可愛がってるからねえ。午後からも頑張りなさいよ?」

「うっ。」

午後一番に待ち受けている反省会を思って有紗は項垂れた。

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