ノスタルジア~喫茶店を訪ねて~
 聖美は、幸いと言うべきなのだろうか。最期は私の手によってではなく、不運な交通事故で死んでしまったのだから。
 (いや、違う)
女は、自分の心に湧き出てきた感情に、締めつけられた。
(私が、私が・・・・)
(あんなことを願わなければ・・・)
ワタシガ、キヨミヲコロシタ
 心臓が、つかまれたように苦しくなる。太陽はじりじりと、頭上を照らし、まるで私を責めているように睨み付けた。
 もうあれから、10年経ってしまった。
私は、ひどい母親だ。聖美は悪くないのに、悪い原因のように聖美をたたいてしまった。殺してしまった。
 (私は、墓を尋ねる資格も、聖美に謝る資格も無い。母親の資格も無い)
 涙は、当の昔に涸れてしまった。心には、土砂降りの雨がザーザーと、降り続けた。

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