World Walker
敗戦濃厚となり、武器を捨てて本国へと逃げる帝国の騎士達。

「追う必要はない」

これまでもそうであったように、乙女は敵前逃亡の兵に追っ手をかけなかった。

「我らは侵略に来た訳でも、領土を奪いに来た訳でもない。傷を負っているものの、幸いりせは無事だ。ならばこれ以上の戦闘は不要」

乙女は愛馬を操りながら、血塗れのりせに近づく。

「お転婆とは私にのみ使われる言葉だと思っていたがな…」

「余計なお世話よ…」

微笑む乙女に、鼻を鳴らすりせ。

姿形こそ違うものの、こうして向き合った二人は双子の戦乙女のようでもあった。

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