World Walker
もう旅立つのか…。

彼の地の為に尽力してくれたのに、何も礼らしい礼をしていない。

「りせ、どうだ…この地に残らないか?」

乙女が寂しげに言う。

「お前さえ望んでくれるならば、王宮での何不自由ない暮らしも約束するし、紅と同等の武術指南役や女神兵の騎士団長の地位や…何なら私直属の親衛騎士の称号だって与えるが…」

「気持ちは嬉しいけどね」

振り向いて、りせは笑う。

「王宮暮らしも親衛騎士も、窮屈そうで性に合わないわ。紅と毎日顔を突き合わせるのもノイローゼになりそうだしね」

「ノ、ノイ…?」

「息が詰まるって事よ!」

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