World Walker
第一の世界、再び

渓谷での出会い

紅にもらった干し肉と飲料水など、とうの昔に尽きていた。

燦々と降り注ぐ日差し。

急な坂道を、りせは登る。

「暑い…」

片手を額の辺りに翳して、空を見上げる。

梅雨の合間とはいえ、もう夏本番とも言えるような青空だった。

紫外線が元気よく地面に叩きつけられる。

渓谷と、閑静な丘の上の住宅街。

違いはあれど、以前訪れた御影市近郊の坂道を思い出す。

それ程の急な坂だった。

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