World Walker
「はぁっ…はぁっ…はぁっ…」

もう人目など気にしている余裕はない。

血混じりの涎さえ垂らして、必死に呼吸を整える来栖。

全身はボロボロ、相当の魔力も消費した。

当然だ。

世界を滅ぼすほどのエネルギーをたった一人で消滅させたのだから。

だが言い換えれば、それは『りせの決め手を退けた』という事。

今まで温存していたりせの切り札を、来栖は破ったのだ。

「どうだ、りせ…もうこれ以上の奥の手は持ってはいまい…」

苦痛に表情を歪めながらも、ニヤリと笑う来栖。

「そうね…」

りせは神妙な表情で呟く。

「今の以上の攻撃なんて…私はもう持っていないわ…」

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