World Walker
急な坂道を登り、ようやく頂上まで辿り着いた所だ。

閑静な住宅街が続く丘の上。

見晴らしのいい丘のてっぺんからは、街が一望できる。

心地よい風が、少女の髪を揺らした。

が、少女は心地よくない。

何もかもに満ち足りているからこそ、こういう風は心地よいのだ。

何かひとつでも欠けていれば、心に余裕がなければ、風の心地よさは伝わらない。

単刀直入に言ってしまおう。

少女は腹が減っていた。

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