あの時も、これからも
出会いは4月のある日

よってきたのは春日部のほうだ

「これで明日はゆっくり寝れるわ。黒崎君も明日休みでしょ?どう?今日、一杯くらい」

春日部と知り合って数か月

何度か同じような文句で誘われているが

それは一種のあいさつ代わりだと1か月ほどたったとき認識した

ので、海斗も

「休日は寝るためにある。ついでにいうと金曜日の夜から休日は始まってる」

と、いつもいつも断っている

一杯すら付き合ったことがない

「寂しい男ねー。ノリが悪いって言われなかった?」

ずげずげと言いにくいことを言ってくるその性格は、

しるふと似通っていると海斗は思っている

呼び止められて振り返るのはそのせいだ

などと言ったらあのブラウンの瞳は怒るだろうか

「黒崎君て本当連れないし、掴みどころないし、そうやって何人もの女の人を泣かせてきたんでしょう」

まったく失礼な発言である

海斗は基本このスタイルを通してきていたし、こちらから誘ったことなど一度もない

よってくるのはいつもあちらで

勝手になくのもあちらだ
< 116 / 214 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop