スイートペットライフ
なんだか会話がかみ合っていない。というよりも大倉さんの言っていることを理解しているのが私と真田さんだけで納得させたい相手には全く伝わってないのだから。

「う～ん、にわかには信じがたいね、諏訪君ちょっと」

そう言って諏訪君の耳元で所長が何か耳打ちしている。

すると諏訪君は一旦外にでて、佐和子先輩を連れて戻ってきた。

入ってきた佐和子先輩の手には数種類の資料があった。

「試すようなことをして申し訳ないが、この中に青木さんが作った資料がある。どれかおわかりですか？」

そう言って大倉さんのほうに資料を差し出すと大倉さんはそれの匂いを嗅ぎ始めた。

「これですね」

すぐに一つの資料を選んだ。中身をみると間違いなく私が作成した資料だ。

「間違いないですね、この資料は青木さんが作成したものです」

佐和子先輩も驚いたように目を見開く。

「う～ん。本当に匂いが分かるなんて」

「ご不満ならもう一度テストしてください。何度でもやりますよ」

身目麗しい社長が足を組んで優雅にしているが、やっていることは“クンクン”だ。


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