スイートペットライフ
4.  捨てる神あれば拾う神あり
ツーツーと無機質な音だけがするスマホを見つめる。

指先がどんどん冷たくなっていくのが分かる。

さっきまで、浮かれてこのモデルルームみたいな部屋をみていたのに…。

思わずその場にペタリとしゃがみこんでしまった。

「どうしました!?」

急にしゃがみこんだ私をみてびっくりした大倉さんが、駆け寄ってきて肩を抱いて立たせてくれ、ゆっくりとソファへ座らせてくれた。

「ここで少し待っていてください」

首を縦にふって頷くことしかできない。

これからのこと一体どうすればいいのか、ぐるぐると考えてみるもの、事態が衝撃的すぎて思考が追いつかない。

これまで色々ママに振りまわされてきたけれど、ここまでひどいことはなかった。

娘の生活がピンチだというのに、恋人のために店をだとー!どこまで恋愛体質なんだ!

私は絶対ママみたいにならない!絶対に。

本当に考えなければいけないことは住むところの確保なのに、別のことを考えていたら、ふと目の前にマグカップが差し出された。
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