最愛~あなただけが~
 年の瀬も押し迫った12月29日。
 事務所は、大掃除でてんやわんやだった。

 みんな、ジーンズにトレーナー姿。
 私も、髪をポニーテールにまとめて気合い十分!


「よいしょっ。よいしょっ。」

 バケツを抱えて1階から3階まで何往復もするのは、腕にも太ももにも堪えるわ。


「都築さん、滑るなよー。」

 クレンザーで階段を磨いている鷹野さんが、横を通り過ぎる私に言った。

 汗だくで、半袖Tシャツ姿の鷹野さんに、ヤバいくらいドキドキする。
 普段はワイシャツに隠れている、逞しい筋肉質な腕が見えるから。


(・・・抱きしめられてみたい。かも。)


 不意に、そんなことを思った。
 鷹野さんの汗と生腕は、私を欲情させるには充分過ぎる。


「上が済んだら、加勢に来てくれよな。」

「はいっ。
 急いで終わらせてきます!」

 私は、鷹野さんに敬礼して大急ぎで事務所に戻った。
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