片想連鎖 ~伝えたい心~

正直、横断歩道の前で明奈に腕を振り払われた時、かなりの大ダメージを受けた。

ああいう風になるのが嫌だったし、明奈を怖がらせたくもなかったから、明奈に対して慎重に接していたんだ。


だけど、俺は心のどこかで、
” 嬉しい ”と感じていた…


夏休み明け、明奈が女の先輩に絞められていて、肩を抱いて歩いた時にはこうならなかった。
それは明奈が安心していたからに外ならない。

さっきの女がきっかけになったとはいえ、明奈は俺を”男”として意識したんだ。

俺は、それが嬉しかった…。

そう気付いたら、今までずっとモヤモヤとしていた心が、一気に晴れた気がした。


あー…
これで、やっと…
明奈を諦められる…


俺の右目から、熱いものが一筋伝った。
俺は、それを慌てて拭った。


「ハァー…。うしっ!走って帰るかっ!!」


そう勢いづけて言った後、俺は全力疾走で来た道を帰って行った。



明奈への想いを断ち切る様に…




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