片想連鎖 ~伝えたい心~



「作戦名はそうだけど…。」


「じゃあ、うまくいったのを見たんじゃない?中村さんは直哉と明奈に触発されたんでしょ。それが妥当だよ。」


「”見た”って…何を…。」


私がそう言うと、爽は意地悪そうに笑いながら
『俺達は、中村さんに触発されてみる?』と言って私の腕を引いて歩き出した…。
爽は、普段一人称を『僕』と言ってるけど、私といる時は『俺』になる…。

その時は大概、爽は”俺様”に変貌するんだ…。
その二面性が、私をドキドキさせた。


爽は階段を一階まで降りた後、階段下の隠れられるスペースに私を連れ込んだんだ…。

爽は何も言わずに私を見下ろし、
私の心臓は早鐘を打つ。
視線を反らせなくなった私に、爽が近づいて来るのが見えた…。



< 300 / 316 >

この作品をシェア

pagetop