ハンバーガー質小井店。

****でお勉強しましょう。



あれから1週間近く経ったが、質小井店には行っていない。
元カノに騙された日にMyチャリで向かおうとした俺を止めたのは勿論"元カノ"だ。

"いい作戦があるわよ"

その言葉を怪訝に思うよりも体が反応した。
大事な大事なMyチャリ(ストロベリーちゃん)を投げ捨てて元カノに駆け寄ると、大きな溜め息を吐かれたけど気にしない。
そんなことより、例の彼女の気を引く方が大切。


「ぎゃー!!俺のストロベリーちゃんがぁ!!」
っと叫ぶのは数分後だ。

っで、元カノの提案はー…

『女の子の気持ちを知ろう』だ。

まぁ、結局元カノは俺にあーだこーだと嫌味をプラスしたアドバイスをくれたわけだが…話は半分も聞いていない。
唯一聞き取ったのは、


「おい、譲…顔の締まりを引き締めろ。少女漫画を見ながらにやけるなキモイ。」

「これは、俺の未来に関わってくることなのだ。邪魔するでない。」

そう、"少女漫画"を読んで勉強をしなさいってお言葉。
元カノにはお礼をそこそこに、綺麗な真っ赤なボディに傷がついてしまったMyチャリに乗って向かったのは、質小井店では無く、駅前の大型書店。

買い漁りましたよ。
えぇ、買っちゃいました。

変質者を見る目で見られましたが万札飛ばして買いましたよ。

Myチャリに乗って何十冊もある漫画を持って帰るのは至難の技で…まぁ、愛の試練ですね。

ふむふむ、むふむふ、むむむ…

「君の笑顔はこの花のように儚く綺麗だ。」

ふーむ。

「好きだっ!!お前が誰を好きだろうと受け止めてやる!」

ふむ。

「お前のピンク色の可愛らしい唇にキスしてぇ」

むむ。

「泣くな。お前の泣き顔を見たら俺は…お前を手放せなくなる。」

ほー。

「さぁ、僕の手をとって。僕たちの幸せな姿を国民に見せてあげよう。そう、そのまま僕の膝に乗ってごらん?腕は首の後ろに回して…」

ほーほーほー!!

「お前ら可愛い女の子に寄ってたかって何してんだよ。は?俺の名前?お前らに名乗る名前なんてねぇーよ、まぁ、正義のヒーロー様って呼んでくれてもイイぜ?」


こ、これだーっ!!
次の作戦はこれしかないっ!!!


「大丈夫かい?間に合ってよかった。君のように綺麗な子はこんな夜遅く出歩いては危険だよ。この先は街灯も少ない、心配だから家まで送っていくよ。さぁ、おいで。」

これもいいなー!!
さり気なく手を繋げば彼女の温もりを感じられるし、しかも家まで送れば家の場所も分かるっ!!

いやぁ、少女漫画サイコー!



□少女漫画で勉強しましょう。 END■




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