黒猫浮かれん坊
【第六章:交差する】
玲sideー

双子だから、
完璧に同じとは限らなかった。
俺も良も気にしてなかった。

世界は俺と良で出来ていると思ってた
小夜に会う前は…
良が可愛くて可愛くて仕方がなかったと
思った時期もあった。

なのに今は憎たらしくて憎たらしくて
仕方がない。

先に小夜を好きなったのは俺なのに…
どうして良が隣にいるんだ?

あの時も、そうだった。

『違う…』

違くない。いつだって、お前はそうだ
【俺から大事な物を奪うんだ】

『それは、俺じゃない』

やめろよ、自分で自分と戦いたくない
『思い出して、一卵性で産まれたから
顔が同じなだけで、君は良かもしれない』

馬鹿なこと言うなよ俺は玲だ。

『本当に玲なの?』
聞き覚えのある声、
俺は今…何してるんだ?

誰と会話して、誰と戦って
どうしてここにいるんだ?

そもそもここはどこだ?

ピー…

そうだった…あの時…
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