坂口美里とガルダスト

「でも、情報源は確かなんでしょ?」


「とはいえ、アルタス財閥が私達の産業スパイの存在に気が付いていて、わざと情報を握らされた可能性は否定出来ないことよ。」


 ・・・でも、そうだとしたらいったい何のために?


「そんなこと言うなよ・・・。カオリさんが疑い出したら、俺があの時、爺やに説教した意味がなくなるだろう?あれ、実はものすごく怖かったんだぞ。」


「あ、ごめんなさい・・・。」


 素直に謝るカオリ。


「そういえば兄貴。どうしてあの時、あんなことをしたの?・・・人に説教すること嫌いじゃなかったの?」


 兄貴は人に考えを押し付けたり、押し付けられたりするのが一番嫌いな人種だ。


 そのため、こいつはあまり説教をしない。


 もちろん例外・・・つまり、実の妹である私に説教をしないほど、甲斐性なしではないが・・・。


「別に・・・ただの気まぐれだよ。」


「そうなの?」


 カオリの意外な言葉。


「ウソつけ。」


 即座に言い張る。


「別に、何でも理由があるわけじゃねぇよ。」


「でも、ウソだね。兄貴は、美雪のコトを考えていたんだ。」


「な?」


 動揺を隠せないかのように、兄貴は驚愕の表情を私に向ける。


< 118 / 152 >

この作品をシェア

pagetop